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HAPPY NEWS 2017
ハッピーニュース

大根の根に父の形見

南日本新聞 2017年12月30日付朝刊を読んで

林田 キヨ子さん (鹿児島県:53歳)

 

「愛犬エル」が、感謝の気持ちを形で表したのでは、と思いました。

そして試練の先には、こんなドラマチックな物語が、現実に、奇跡的に起きるなんて。

生きるとは、一瞬でも見過ごすなかれですね。向こうのサインに気付き行動するご夫婦は、希望を見つけ出された。

あなたにも、私にも探し物は、案外、身近で、待ち続けているかもしれませんね。

「どうぞお元気で末永くお幸せに」と、お写真に、そっと声をかけました。

記事本文

鹿児島市緑ケ丘町の農業野村輝美さん(81)は28日、根に18金の指輪をはめた大根を掘り出した。指輪は11年前、畑仕事の最中なくした父の形見だった。病に倒れ愛犬も亡くした今年。妻の美代子さん(77)と「年の瀬に元気づけられた」と喜ぶ。

指輪は2006年、当時94歳の父・信男さんから亡くなる間際に託された。指にはめて約1週間後、皆与志町の畑で作業中に抜け落ちた。畑は約900平方メートル。「宝くじを当てるより難しい」と、数年後には見つけだすのを諦めた。

17年は波乱続きだった。輝美さんは1月、運転中に脳出血を起こし3カ月入院。6月には、17年間飼っていた愛犬エルを亡くし、悲しみに暮れた。

夫婦2人の静かな正月になろうとする矢先の指輪発見。美代子さんは「夫が掘った大根を私が洗ったら、何かが光っていた。『指輪だー』と叫びました」。大根は30センチ余り。地中15センチほどにあった指輪に、成長途中の大根が入り込んだらしい。

すぐに根を切り、指に戻した輝美さん。大根は仏壇に供えた。「父とエルが、『まだまだ元気でいろ』と言ってくれているよう。もう絶対なくさない」と、左手の薬指に光る指輪を優しくなぞった。(梅下陽一)