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HAPPY NEWS 2017
ハッピーニュース

「共生」実現に一丸

神奈川新聞 2018年1月21日付朝刊を読んで

樋口 秀一さん (神奈川県:49歳)

 

共生社会というのは理想論だと思っていた。この記事に出会うまでは。私は特別支援学校の小学部で障害児の支援を主な仕事としている。小学校には通常学校と支援学校がある。さらに通常学校内には通常学級や通級、支援学級と区別された仕組みがあり、障害を持った子を両親が通常学級に入れたいと思っても、担任への負担やほかの保護者の理解が得られるかを考えて、ちゅうちょするのが現実だ。しかし一人で課題を抱えるよりもチームで協力し、できる人ができることをひとつひとつ実行すればいいのだ。

この記事では、校長が学校や地域にボランティア募集を呼び掛けたところ予想を上回る人数が集まったそうで、世の中捨てたものじゃない、そう思えたHAPPYな記事だ。

校長の英断もそうだが、トップが決断し周りと協力する仕組みを作れば共生社会は実現する。

4月から教員になるが、「チームゆうき」をこれからも温かく見守るとともに、このムーブメントを推進し各地に広がることを願う。

記事本文

 

公立小学校の通常学級に通わせたい-。脳性まひによる四肢体幹機能障害のある小学3年生、山本湧貴君(9)の両親の切なる願いは届いた。受け止めたのは横浜市立小田小学校、保護者、地域住民、地元社会福祉協議会…。入学を機に誕生したボランティアグループ「チームゆうき」が、車いすでの学校生活をサポート。「共生社会」の実現へ、地域一丸となった取り組みが続いている。 (岡本 晶子)

両親が同校へ相談に行ったのは入学の1年以上前。「湧貴は誰かの支援を受けなければ生きていけない。親がいなくなった後も自立して生活できるよう、たくさんの子どもや地域の人との関わりの中で育てたい」。父・信広さん、母・千恵さんはそう考えていた。

一方、学校側には当初、「受け入れは難しい」との意見もあった。担任の負担をどうするか、他の保護者の理解は得られるか…。課題は多かったが、木村昭雄校長は受け入れを決意。学校や地域からボランティアを募り、そのための説明会を開くことにした。

地元・金沢区富岡第一地区社会福祉協議会も全面協力。社協の広報紙や町内会の回覧板、保護者宛ての手紙などにボランティア募集と説明会の案内を掲載した。「20人も集まればと思っていた」。木村校長の予想とは裏腹に、当日は48人が出席。用意していた資料が足りなくなるほどだった。

説明会では両親が保育園や家庭での様子を紹介。校長面接を経て、若い母親から70代まで26人の男女が、ボランティアとなった。現在も同じ人数が、チームゆうきのメンバーだ。

活動内容は授業中のノートの書き取りや、給食・着替えの介助など。できることは自分でという意識の強い湧貴君を見守り、できない部分だけサポートする。週1回担当する篠崎巌さんは「楽しいし、やりがいがある。(湧貴君が)喜んでくれるのがうれしいね」。

メンバーは年2回、学習会を開催。専門家も交え、介助支援のあり方について学んでいる。「親だけでなく支援員さんたちも手探り。工夫しながら今に至る。雨の日も寒い日も学校へ来ていただき、本当にありがたい」と信広さん。地域の担い手不足が指摘される昨今だが、同社協の沓澤和子事務局長は「若いお母さんたちも非常に熱心。世の中、捨てたもんじゃないなと実感している」。

チームゆうきの活動は善意の輪を広げるきっかけとなった。2016年5月には「小田小地域コラボレーションシステム(KCS)」が発足。現在120人超が登録し、読み聞かせや1年生の給食の見守り、学習支援など多彩な活動を展開する。「学校を地域のランドマークに」-。木村校長の描く構想は少しずつ、しかし着実に形となっている。

湧貴君はやがて思春期や青年期を経て大人になる。「今とは違う課題にぶつかると思うが、地域に強力なサポーターがたくさんいるので心強い」と千恵さん。友達や先生に恵まれ楽しそうな息子の姿に、信広さんは、通常学級への入学を諦めなくて良かったと思うと同時に、「この街で育って良かった」と思う日が必ず来ると確信している。