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HAPPY NEWS 2017
ハッピーニュース

阿蘇 夫婦の草原再生物語

西日本新聞 2018年1月11日付朝刊を読んで

森山さん親子 (長崎県)

 

息子・真尋さん(8)

この新聞の写真を見たら心がすぅ-っとすがすがしい気分になりました。将来、こんな風に緑が多く、空気がきれいな所で、人とどうぶつと自ぜんがともに生きてすみやすいかんきょうを作れたらいいなぁと思いました。これからのぼくたちの将来を思うと、こんな場所にすみたいと強く思い、このきじを読みました。漢字が多くて読むのが大へんでお母さんと一しょに読みました。分からない言ばは何度もいみが分かるまで教えてもらいました。きじの内ようでこの夫婦のしあわせの時間が目にうかぶたびに、ぼくの心は、しあわせな気もちになりました。このきじをみんなで読んで同じ気もちになる人が多ければ、みらいはとても平和な国になりそうでわくわくします。

そんな平和な日本にしたいです。

母・陽子さん(42)

HAPPYな記事・・・ってこんなの・・・?!

息子が持ってきた新聞を見た瞬間、「ああ~わかる!!」と共感した1枚の写真。これを見ていると心がほっとするんだ・・・。

昔のおとぎ話、絵本に出てきそうな風景。私は子供の頃、こんな自然に囲まれた環境で過ごしていたので懐かしく思いましたが、息子から見れば、この自然いっぱいの大地が珍しく、興味深く、一緒に記事を読んでほしいと言ってきました。一緒に記事を読んで、漢字一文字、一文字、理解して、それからは親子で妄想話・・・親子の会話は絶えず続きました。息子は私の子供の頃にそっくりだなぁ・・・と1人苦笑い。質問攻めにして、いつも親を困らせてました・・・(笑)。

野草園(花咲盛)の内容は次世代の私たちに贈るメッセージであり、その記事を見て、読んで、息子の思うストレートな気持ち(作文)は私の心に重くのし掛かり、何か忘れていた大切な気持ちを思い出させるものでした。

息子がまっすぐで素直に成長してくれたことをうれしく感じるとともに、この先も変わらず成長してくれることを願いつつ、自然と笑顔がこぼれました。

素敵な出会いってありがたいですね。それは人だけでなく新聞、写真でも同じですね。

記事本文

草原の維持が課題となっている熊本県阿蘇地方の荒れ果てた放牧地を、希少な草花が咲く丘に再生させた野草園がある。同県高森町の「花咲盛(はなさきもり)」。ある夫婦が数年がかりでよみがえらせ、全国から見学客を引き寄せたが、病気を機に管理を諦めた。十数年の活動を、仲間が絵本にした。伝えたいのは、夫婦の足跡と、阿蘇の自然のサイクルだ。 (森井徹)

夫婦は熊本市東区の宇野公子さん(73)と夫の教光さん(83)。1999年、高森町の山奥にあるすり鉢状の丘約10万平方メートルを購入し、自力で整備して2006年に野草園をオープン。そこを花咲盛と名付けた。

「最初は見渡す限りのやぶでした」と公子さん。牛が放牧されていたのは半世紀ほども前。夫婦2人で伸び放題の草を刈り、木を切り倒し、復活させた草原には草花が芽吹いた。一度は好みの庭園にしようとチューリップを何千株も植えたが、植物学者に「阿蘇特有の花を生かすべきだ」と指摘され、全て引き抜いた。その後は自生する草花を大切にし、新芽を促すため春の野焼きも再開した。

春はサクラソウ、梅雨はハナシノブにノハナショウブ、夏はヒゴタイ、秋はリンドウ…。季節ごとに希少な草花が山道を彩った。観察を楽しむ人たちが全国各地から訪れ、野草園の管理費は活動に対する賛同者からの年会費で賄った。

ところが、13年末に公子さんが脳内出血を発症し、活動は一時中断を余儀なくされた。約2カ月の入院を経て草刈りを再開したものの、左目がほとんど見えなくなる後遺症があり、山に通う頻度は減った。「けじめをつけよう」と管理を諦めることにした。後は、植物の調査をしながら夫婦との交流を深めてきた植物研究者に譲った。

「大変だったけれど、山の草木と人々との出会いが、人生にいい時間を与えてくれた」と公子さんは振り返る。

約20年にわたる夫婦の物語をまとめた絵本「花咲盛」(ブイツーソリューション発行)も、山を通じた出会いから生まれた結晶だ。活動を支援してきた高森町の長尾孝子さん(69)が阿蘇の自然を和紙の貼り絵で表現した。長尾さんは「阿蘇の草原を維持するには人の手が必要。野の花を守ってきた2人のことを知ってほしい」と話している。絵本は税込み972円。B5判、24ページ。書店で取り寄せられる。