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HAPPY NEWS 2017
ハッピーニュース

山に一人「幸せよ」

茨城新聞 2018年1月1日付朝刊を読んで

鷺沼 宏子さん (茨城県:47歳)

 

「ハッピーです」

元旦から、喜ばしい記事を見つけて、良い朝になりました。

内海さんが、100歳を迎えられ、さらに充実した日々を送って下さること、心より願ってます。

私は農家の嫁ですが、子供はいません。子供がいないから、不幸だとも思いません。

周囲から、子供がいないことで、変わり者呼ばわりされても、スルーするのが、私の賢い方法。

内海さんは、ご主人に先立たれても、一人の生活を満喫されているようで、私までほのぼのしますし、心の支えになりそうです。

人生100年だとしたら、私は半分ほどですが、健康・食事に気をつけて、少しでも長く生きたいものですね。

内海さんのように、高齢になっても、身の回りのことは、自分で行いたいですし、老いを楽しみ、何事にもチャレンジして、前向きな姿勢で歩き続けたいと決意しました。

森本千絵さんのコメント

「山に一人でいたって怖いことなんか一つもないの」と縁側でほほ笑む静枝さんの体温を感じます。別れてもずっとそばにいることができる心の置き方を知ってるということは、とても幸せで健やかなことなのだなぁと思いました。人間の心と身体をつくる上での当たり前で大切なことを丁寧に紡がれていることなど尊敬いたします。100歳を迎えられおめでとうございます。私も花の一輪一輪に感謝する日々を送りたい、優しさに包まれたいと思います。

森本千絵(アートディレクター)

記事本文

いばらき人生100年(1) 桜川市 内海静枝(うつみしずえ)さん(100) 

山に一人「幸せよ」 くわ一本、亡夫と開墾

山道をくねくね登っていくと、ぽつり、一軒の家にたどり着く。

桜川市大和地区。山に住んで70年が過ぎた。

縁側に腰掛け、庭を眺めるのが日課だ。柿や松など木々が大きく育った。池には山の水が絶えず注ぐ。全て夫と造り、日々の思い出が凝縮されている。

「人生は楽しいね。苦労があっても幸せよ」。日だまりの中でのおしゃべりが好きだ。時折、タヌキやウサギがひょっこり、顔を見せる。「いらっしゃい。ゆっくりしておゆき」。優しく声を掛けると、ぽかんとこちらを見ている。「ほらね。山に一人でいたって怖いことなんか一つもないの」とほほ笑む。

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第1次世界大戦のさなかの1917(大正6)年、北海道小樽市に生まれた。東京に出て事務員に。慰問で訪れた神奈川県の横須賀港で、2歳上の海軍軍人、信夫(しのぶ)さんと出会った。

第2次世界大戦中、28歳で結婚した。戦況は悪化。いつ命を落とすか分からない。そんな時代だった。

土浦市で終戦を迎えた。自然に囲まれ、静かに暮らしたい-。神奈川には戻らず、知人を頼り、旧大和村に住んだ。

木や草が生い茂り、石ころだらけの山。慣れない野良仕事は苦労も多かった。「山の中で2人きり。お互いを頼るしかない。1町1反8畝(せ)を耕し続けたの」

陸稲をはじめ、トマトやスイカなどを作っては売り歩いた。牛7頭を飼い、生乳も売った。

真面目で無口な信夫さんと、けんかをしたことがない。「私は口答えなんてしないもの」。子どもは授からなかったが、「お父ちゃん」と頼った。

信夫さんが旅立って13年。一人になったが、この地を離れることなど考えたことはない。「くわ一本で切り開いたお父ちゃんの姿が今でも目に浮かぶ」

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週1回、市内のデイサービスに通うのが楽しみだ。日用品の買い物などはヘルパーや、小さい頃からわが子のようにかわいがってきた桜川市の知人たちが助けてくれる。

愚痴は言わない。テレビは見ない。「新聞を読み、勉強する」。食事には気を使う。ご飯は子ども用の茶わんに少し。「胃は大切だから、食べ過ぎない」と節制する。

毎日欠かさないのが、寝る前の体操。手を前に伸ばし、あおむけにごろんと転がり、反動で起き上がる。そのかいあってか、足腰は今も丈夫だ。

庭の木の一本一本、花の一輪一輪に感謝する日々。「100歳を迎えるなんて思わなかった。本当にありがたいことです」。鳥のさえずりだけが聞こえる山あいの庭で、お父ちゃんに語り掛ける。 (平野有紀)(随時掲載)

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県内でも急速に長寿化が進み、人生100年時代は現実になりつつある。心も体も元気な100歳前後のお年寄りを紹介する。

〈好きな食べ物〉鶏のもも肉、サーモンの刺し身