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2016.01.25 update.

芦北からカンボジアへ 学校建設の先に

熊本日日新聞社 | 2016年1月10日掲載

カンボジアは、旧ポル・ポト政権による大虐殺と内戦の後遺症を今なお引きずる。破壊された教育基盤を支援するため、芦北町国際交流協会は昨年末、町民の募金で5校目の新校舎を贈った。同国の学校はまだ不足しているが、近年は高騰する建設費の確保が難しく、支援の見直しも課題だ。町内の小、中、高校生中心の派遣団(28人)に同行し、今後の支援の方向性を考えた。(川崎浩平)

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首都プノンペンの復興は目覚ましい。十数年前まで内戦の痕跡が見られた街には今、39階建てのオフィスビルがそびえ、日本の「イオンモール」は2号店の出店計画がある。“富の象徴”とされる高級車の「レンジローバー」や「レクサス」が数多く行き交う。

そこから北東へ車で4時間余り。トゥボークモム州のクナーチチュン村にはゴム、カシューナッツ、コショウなどの農園が広がる。砂ぼこりが舞う未舗装のでこぼこ道に揺られ、「芦北ひまわり第5学校」(約180人)に到着した。

学校建設の窓口であるNPO法人「JHP・学校をつくる会」(東京)によると、村では2007年に小学校が開校した。木造トタン屋根の粗末な造りで教員、教室が足りず、1~4年生だけ通っていた。国内の小学校約7千校の約1割が、全学年を受け入れられない「不完全校」という。

芦北町民が贈った5校目は鉄筋コンクリート造りの3教室で、別棟のトイレも新設。過去4校と同じ「ひまわり」の名が付いた黄色い壁の校舎には、「子どもたちが明るく元気に育ち、国の未来を担ってほしい」との願いが込められている。

昨年12月28日の贈呈式は、同国の教育省次官をはじめ児童、住民ら約500人が出席。気温30度の日差しに負けない熱い歓迎を受けた。児童代表の5年生ナイ・ソッソクニーさんは「きれいで安全な校舎で勉強できるのが夢だった。大切に使います」と誓った。

派遣団もカンボジア民謡「アラピヤ」のリコーダー演奏などを披露し、日本から持参した折り紙や竹とんぼで児童らと交流した。佐敷中3年の石矢涼花さんは「『新しい校舎に通えてうれしい』『外国の子がたくさん来てくれて感動した』と、目をキラキラ輝かせて喜んでくれた」と感激の面持ちだった。

派遣団に参加した漫画家で「仮面ライダーSPIRITS」作者の村枝賢一さん(48)=芦北町=は、教室の壁に仮面ライダーなど自作のキャラクターを描くサプライズを演出。「絵は言葉を超え、子どもたちを喜ばせる。平和のシンボルの仮面ライダーが、内戦で傷ついた国との友好関係に貢献できてうれしい」と話した。

芦北町民の善意が詰まった学びやに、子どもたちの太陽のようにまぶしい笑顔があふれた。

○用語=カンボジアに学校を贈る運動 芦北町国際交流協会の前身団体の呼び掛けで1996年にスタート。佐敷小の募金活動を皮切りに、町内の小中学校や町民の運動に発展した。2001年から3年続けて3校を贈呈。その後、同国の経済成長に伴い資材費や人件費が高騰し、4校目は09年に完成した。過去4校は1棟5教室だったのに対し、5校目は1棟3教室で建設費は過去最高の711万円に膨らみ、1校目(約380万円)の倍近くかかった。

芦北からカンボジアへ

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VOICE!happy news特派員・小野佳奈子 18歳 学生 熊本県

カンボジアは学校建設に関する問題を多く抱えていたが、国の経済成長、芦北町の派遣団員の皆さんの活動のおかげもあり、今は問題解決への希望が見えてきているように思える。芦北町の国際的な取り組みをこの記事で知った時は、派遣団員の皆さんに敬意を表したい気持ちでいっぱいになった。このような活動をさらに展開して、カンボジアと芦北町の絆を深めてほしい

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