BACK INDEX

HAPPY NEWSハッピーニュース

2015.05.26 update.

期限なし 更生支援寮

西日本新聞社 | 2015年5月17日掲載

 

元受刑者向けの寮完成

罪を犯した人や元非行少年を雇い、更生を支援している北九州市小倉北区の解体業「光進工業」が、同区内に専用の寮を建てた。従業員以外も受け入れ、入居期間は「自立の準備が整うまで」。法務省によると、自前で運営し、期間制限のない施設は全国でも珍しいという。刑務所を出ても帰る家のない人は年間約6千人に上り、再犯率の高さが指摘される中、貴重な受け皿となりそうだ。

社長の細川忠広さん(38)はハローワークからの紹介をきっかけに、2009年から約60人を受け入れてきた。住む家がない場合はその都度、入居先を一緒に探したが、犯罪歴を理由に断られることもあった。

「家探しは本人にも雇用主にも精神的な負担がとても大きい」と細川さん。保護観察所などと意見交換をする中で、他の雇用主も同様の悩みを抱えていることを知り、「自前で住む場所を準備しよう」と考えた。

寮は鉄骨2階建て。1階に2DKが2室、2階に6畳一間が8室あり、共用のシャワー室やトイレ、台所、居間も完備する。細川さんの知人が管理人となり、朝夕の食事を準備する。

4月12日にオープンし、光進工業の男性社員7人が6室に入居している。5月上旬に入社した男性(18)は「住む家があり、ほっとしている。一生懸命働いて自立できるお金をためたい」と意気込む。複数の雇用主からも問い合わせがあり、細川さんが入居希望者と面談して家賃などの説明をする。

法務省保護局によると、2013年の満期出所者1万1887人のうち、半数以上の6368人は帰る家がなかった。住む家がある人に比べて再犯率が高く、08~12年の平均で約3割が2年以内に罪を犯し、刑務所に戻ったという。

更生保護法に基づき国から委託を受け、一時的に受け入れる民間の更生保護施設や自立準備ホームは全国に約380カ所あるが、満期出所者の入居期間は半年以内と規定されている。実際は入所希望者が多いため2~3カ月としている施設がほとんどで、居住先が見つからないまま施設を出る人は少なくない。

NPO法人福岡県就労支援事業者機構の北崎秀男事務局長(70)は「住む家がないせいで、その後の就労もうまくいかず、結果的に再犯につながるケースが多い」と指摘する。

細川さんは「家族のように温かく暮らしてほしい」との思いを込めて「陽だまり寮」と名付けた。「2棟、3棟と増やしたい。この寮から一人でも多く社会復帰してほしい」と願う。 (岩谷瞬)

20150517a28新聞協会

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!happy news特派員・國崎 万智 24歳 福岡県

これから働き、自立して生きていきたいと願う元受刑者たちの最初の一歩を支える試み。帰る場所の存在が、どれだけ人の不安を和らげるだろうと思った。

HAPPY NEWS SHARE RANKINGHAPPY NEWS facebookシェア ランキング