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2016.12.28 update.
ホテルニューグランド 天井裏から発見 想像膨らむ 70年前の空ボトル 中に米軍将校の名刺 滞在の証し残した?
終戦とともに連合国軍に接収され、連合国軍総司令部(GHQ)の最高司令官、マッカーサー元帥も滞在したホテルニューグランド本館(横浜市中区)の天井裏から、古いウイスキーボトルが見つかった。空のボトルの中には約70年前の米軍将校の1枚の名刺。誰がどういう目的で残したものなのか…。謎めいた古いボトルに注目が集まっている。
ボトルは同ホテルが今年6月から改修工事を進める中で、本館2階の宴会場「フェニックスルーム」の天井裏で発見された。3階の床はコンクリートのため、「2階に足場を組み、約5メートル上にある天井板を外して隠したと考えられる」(同ホテル担当者)。
高さ約20センチの透明なガラス製のボトルの中には、EUGENE.J.McNAMARA(ユージーン・J・マクナマラ)氏の名刺が入っていた。名刺の裏側には「1946―1948」といった手書きの文字も記されている。
国立国会図書館などが保管する米軍のテレホン・ディレクトリー(一種の電話帳)によると、マクナマラ氏は米陸軍歩兵中佐で、昭和21~23年に夫婦で同ホテルの3階に滞在し、新港ふ頭で物資の輸送や港湾運営に携わっていた。
ボトルの刻印などから米国のバーボンウイスキーのビンと推測されるが、成り立ちは不明。表面にはマクナマラ氏の名前が英語と小さなカタカナで書かれた紙テープが貼られ、反対の面には風化したラベルのような痕跡がみられた。
同ホテルのメインバー「シーガーディアンⅡ」のチーフバーテンダー、太田圭介さん(44)は、ビンの状況から、「このビンで大きなたるなどからウイスキーの配給を受け(水筒のように)使用していたのでは」と推測する。
長年使い愛着のあった物を、滞在の証しとして残そうとしたのか。黒ずみに年代を感じる姿からはさまざまな想像が膨らむ。
ボトルはバーテンダーの仕事の状況により、「シーガーディアンⅡ」で間近に見ることが可能だ。太田さんは「しっかり密閉されており、中の空気は70年前のもの。90年の伝統を守り続けるホテルがつないだ日米の歴史を感じてほしい」と話している。
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【用語解説】ホテルニューグランド
関東大震災で壊滅的な被害を受けた横浜市の復興計画の一環として建設され、昭和2(1927)年に創業したクラシックホテル。同ホテルの厨房(ちゅうぼう)からは、ドリア、ナポリタン、プリンアラモードなど、後に広く知られる料理が生まれた。本館と、平成3年に新たに開業したタワー棟からなる「港街・ヨコハマ」のランドマークの一つ。
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VOICE!いけどう 21歳 学生 東京都
長く残る建物には、それを通り過ぎた人々の数だけの物語がある。皆の思い出の場所に残された誰かの痕跡が、今に生きる人々と交差するのは印象的だ。