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2015.05.22 update.

「余興ポリス」心意気健在

沖縄タイムス社 | 2015年5月12日掲載

妻に内緒で真っ赤な口紅をひき、ストールを巻く。美女に化けて宴会に繰り出すことで知られた元糸満署長、真栄城毅さん(62)=那覇市首里鳥堀=の数々の伝説は、憂鬱(ゆううつ)な五月病を吹き飛ばす。警察という堅い階級組織で33年間、いかに人を笑わせるかを考え抜いた元「
余興ポリス」だ。(矢島大輔、平島夏実)
「音楽聞いたら、体が動くのよ」。空手と柔道で鍛えた体をくねらせ、ほほ笑む。捜査の打ち上げや歓送迎会など何百回となく披露したおはこが、昭和の青春歌謡「高原列車は行く」だ。評判を呼び、同僚の祖母のトゥシビー祝いにまで出張。自分がお祝いされる宴席でも真っ先に舞台へ上がり、会場を沸かせた。
原点は子どものころ。正月に父親の部下が自宅に集まると、ラジオのCMをまねてお年玉をせびった。琉球大学を卒業後、南米コロンビアを放浪。海水浴の最中にパスポートを盗まれ、すれ違った男2人組に白昼堂々とかばんを奪われた。治安の大切さを痛感し、警察官の道を選んだ。
「どうせ難儀するなら、笑ってしたい」。保守的な警察組織で、余興を志したのは30代。先輩の説教が延々と続けば「バカヤロウ!
今大事な話をしているんだぞ!」と天井で鳴いたヤモリを一喝。先輩をわれに返らせた。男性上司がセクハラをしている現場に居合わせれば、焼き鳥の串を尻に刺して懲らしめ、得意顔で女性を逃がした。
妻からは「生き恥をさらすな」と止められることもしばしば。長男が幼いころ、父親の女装姿に驚き、泣きだしたこともあった。
だが、普段の仕事ぶりは真面目そのものだ。「毅のことだから仕方ない」。先輩には、いつしかそう認められた。上司になってからの決めぜりふは際どい我流の「3Sの法則」。「酒は楽しく。仕事は厳しく。それから最後が大事なんだよ…セックスは激しく」と笑いかけ、部下との距離を一気に詰めた。
2012年に糸満署長で退職する時、後輩たちがくれた感謝状にはこう記されている。「どんなときも笑顔を絶やさず辛(つら)いときこそ周囲を明るくするその人柄と比類無き才能は、もはや伝説です」
今の真栄城さんは、当時より10キロ痩せた。豊見城市の民間企業に再就職した直後、健康診断でがんが発覚。胃を全摘したからだ。
「それでも笑っていられるか。試されてるのかな」
がん再発の恐怖が寝床に忍び込む。でも毎朝のストレッチは欠かさない。あの音楽が宴席で響いたら、体は自然と動きだすだろう。

(写図説明)(上)糸満署長時代の真栄城毅さん(2010年ごろ撮影)
(写図説明)(下)宴会で女装して踊る真栄城さん(1981年)

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VOICE!happy news特派員・比嘉 太一 24歳 沖縄県

ゴールデンウィーク明けの5月病を吹っ飛ばす記事を紹介します。上下関係が厳しい階級社会の警察組織で、33年間、人を笑わせることを考え抜いた「元余興ポリス」にスポットを当てた記事です。「どうせ難儀するなら笑っていたいし」。元余興ポリスの真栄城毅さん(62)の仕事哲学に元気をもらえる内容です。上司の長い説教、上司のセクハラに居合わせた時の対応、部下との距離を縮める方法などのエピソードに思わず声を出して笑ってしまいました。
ユーモアと正義感を兼ね備えた沖縄の元警察官の話題は、憂鬱な5月病を吹き飛ばすこと請け合いです。

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