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「人と違うこと恐れずに」

ノーベル賞の大隅さん講演

今年のノーベル医学生理学賞に選ばれた東京工業大の大隅良典栄誉教授（７１）は七日、研究室がある東工大すずかけ台キャンパス（横浜市緑区）で講演した。「オートファジー」の研究はまだ途上だとして、「生命科学にはゴールがなくて、あることがわかると次の疑問を生む。すべてがわかったというところからほど遠い」と話した。

講演会は、東工大の新たな研究組織の設立記念で開かれた。受賞決定後、一般向けの講演をするのは初めてとなる。

大きな拍手で迎えられた大隅さんは「異次元の生活を強いられるようになった」と、受賞決定後の慌ただしさを表現。顕微鏡でオートファジーを見つけたきっかけや、病気との関連について動画や写真で紹介した。

日本の科学の問題点にも触れた。「研究環境が悪化している。ノーベル賞に浮かれている状況ではない。次々とノーベル賞をもらうのは非常に難しくなっている」と指摘した。

若者に向け「人と違うことを恐れずに。自分の研究を理解してくれる人がいると支えになる」とアドバイスした。

東工大出身で、二〇〇〇年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹・筑波大名誉教授も講演した。大隅さんに「なんでノーベル賞がほかの賞と違って、わーわー言われるのか」と話しかけ、自称「へそ曲がり」の大隅さんに匹敵する白川流の祝福をした。　（三輪喜人）

学内の記念行事で講演する大隅良典・東京工業大栄誉教授＝７日、横浜市の東工大すずかけ台キャンパスで