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「犬命」救助 目指すは収容ゼロ

河北新報社 | 2016年11月28日掲載

「犬命」救助/仙台市動物管理センター 4年間殺処分ゼロ/飼い主説得 譲渡にも力/目指すは「収容ゼロ」

仙台市動物管理センター「アニパル仙台」(仙台市宮城野区)が2012年度以降、犬の殺処分ゼロを達成している。ペットを持ち込む飼い主に対して責任を持って世話を続けるよう説得を重ね、収容された迷子の犬は譲渡に力を入れる。行政による犬猫の殺処分をなくす取り組みが進む中、目指すのは「収容ゼロ」の環境づくりだ。

15年度の犬の収容数は飼い主からの引き取りが10匹、迷子など抑留犬が137匹だった。このうち95匹は飼い主に戻し、42匹を譲渡。残る10匹はボランティアの協力を得て世話をしながら飼い主を探した。

年間殺処分数は約20年前、400匹を超えていた。12年度に動物愛護法が改正され、飼い主の持ち込みを拒否できるようになった。「飼えなくなった」「治療代がかかる」など自己都合による引き取り要請には「処分の施設ではない」と諭し、飼育の継続を促す。

東日本大震災後は飼い主を失うなどした犬猫の収容が増え、全国から被災動物のための寄付が寄せられた。「引き取りたい」との申し出もあり、譲渡にも積極的に取り組むようになった。

猫は15年度に1175匹を引き取り、488匹を譲渡・返還したが、571匹を殺処分せざるを得なかった。多くは生後間もない野良猫。ボランティアの協力で譲渡できるまでに育てるが、全てケアするのは難しい状況になっている。

環境省は13年度、犬猫殺処分ゼロのプロジェクトを開始し、小池百合子東京都知事も知事選の公約に掲げた。犬は仙台市のほか、神奈川県もゼロを達成したが、全国ではまだ少数だ。宮城県の施設では15年度、103匹が殺処分された。

アニパル仙台の新木由美主任は「重要なのは持ち込まれる犬や猫をなくすこと」と強調。飼い主にルールやマナーを守って最後までペットを飼うよう呼び掛け、野良猫には避妊去勢手術を施し、かわいそうな命を増やさないよう啓発活動にも取り組む。

引き取りを断った犬や猫が捨てられるのではないかとの不安が尽きないという新木さん。「ペット問題は飼い主のモラルなど人間に行き着く。動物を処分せず共生するにはどうしたらいいか、一緒に考えてほしい」と訴える。

【写真】4年前から犬の殺処分ゼロが続くアニパル仙台=仙台市宮城野区扇町6丁目犬命 PDFデータトリミング済み

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VOICE!応募作品から 64歳 宮城県

朝一番に新聞を開いて、目に入った記事が「『犬命』救助」の記事でした。4年も続く殺処分ゼロとは、なんと立派なことでしょう。 恥ずかしい話ですが、動物管理センターに収容された犬や猫たちは、最終的に処分されてしまうものだと思っていました。その判断を下し関わっていく方々は、仕事とはいえつらい思いをしていることだろうと想像していました。でも、センターの方々は、犬たちの命を守る行動を起こして、努力していたのですね。記事を何度も読み返して、今日は朝から気持ちのいい話を目にして、一日を楽しく過ごせる予感がしました。 センターの方々の努力が、ペットに対して改めて考えるきっかけを生み、命の大切さを私たちに教えてくれるチャンスとなりました。 また、このような事実を取り上げた新聞社の判断を、うれしくありがたく思います。新聞は、自分の行動範囲や見解を超えた情報を提供してくれます。新聞を開いて、「さあ今日は何を教えてくれるのかな」と、毎朝私の楽しみは広がります。

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