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2017.11.22 update.

山の廃校で写真展

河北新報社 | 2017年10月19日掲載

山の廃校で写真展/岩手・大槌 旧金沢小、23日から/黒板のメッセージがきっかけ/地域の暮らし 未来へ伝える 

 2009年3月に廃校となった岩手県大槌町の旧金沢(かねざわ)小の古ぼけた黒板に、当時の教員が児童15人に向けてしたためたメッセージが、ひっそり残されている。「子どもたちの息吹、先生たちの思いが充満しているのを感じて心が震えた」。町職員が偶然見つけたのをきっかけに、うち捨てられた山あいの校舎で地域の写真展が23日から開かれることになった。

 町震災伝承推進室長の北田竹美さん(66)が、金沢小校舎を訪れたのは今年7月末。そこで目にしたのが、児童一人一人の名前と「がんばれ15人のファイナリストたち!」と書かれた黒板だった。

 「力を合わせ、本当の『最後の一ページ』を刻んでください」「『金沢魂ここにあり』と会場のみなさんに思われるよう心を込めて『呼びかけ』『全校合唱』を行いましょう」。閉校式に臨む子どもたちへ、教員からの伝言だった。

 当時の町教委職員が後にニスを吹き付け、文字が消えないよう保存していた。

 「過去の延長上に未来があり、つないでいくべきものがある」。そう感じた北田さんは、過疎が進む金沢地区を写真で残そうと、集落の住民と実行委員会を結成。写真展の開催に向けて動きだした。

 今月6日には金沢小最後の校長だった佐野容子さん(62)=一関市=が校舎を訪問。黒板のメッセージを見詰めて「地域に見守られ、家族のように過ごした日々を思い出す。閉校は心苦しかったが、再び住民が集う場になる写真展が楽しみだ」と話した。

 テーマ写真展「金澤未来の記憶」には、地区の郷土芸能や自然豊かな景観、お年寄りを中心としたポートレートなど作品計約100点が展示される予定だ。北田さんは「寂れゆくこの地で生きる人の日常や風景を写真に刻み、黒板と同様に未来へ伝えたい」と意気込む。

 写真展は23日~11月3日。連絡先は町震災伝承推進室0193(27)8168。

【写真】閉校式の日そのままに、児童の名前とメッセージが残された黒板を見詰める佐野さん

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VOICE!H.M 19歳 大学生 宮城県

 「廃校」と「写真展」というなかなか結びつかない語句が並んだ見出しに興味をひかれて読みました。廃校の際、最後の卒業生にあてた先生のメッセージに心が温められたのはもちろん、メッセージの書かれた黒板を当時の町教委職員が保存し、後に北田さんにより写真展までつながったことに、地域の人々の思い入れを感じました。廃校というとマイナスなイメージを持ってしまいがちですが、当時の日常を未来へ伝えようという動きがあることに私自身勇気づけられ、幸せな気持ちになりました。

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