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2017.04.04 update.
卒業ソングに“新旧交代” 長崎の公立中学 「旅立ちの日に」人気 消えゆく定番 寂しさも
思い出が詰まった学びやを巣立つ3月。この時季に欠かせない卒業ソングが、県内でも変わりつつある。定番だった「蛍の光」「仰げば尊し」は今や少数派となり逆に、合唱曲「旅立ちの日に」が“台頭”。さらに人気アーティストなどの楽曲を選ぶ学校もある。“新旧交代”が進む卒業ソング事情を長崎市内の公立中学校で調べた。
■響 く
卒業式を2日後に控えた13日。ダイヤランド1丁目の市立小ケ倉中(山口司校長)体育館に、「旅立ちの日に」などを練習する3年生80人の歌声が響いていた。
「勇気を翼に込めて 希望の風に乗り この広い大空に 夢を託して」
「今、別れの時 飛び立とう 未来信じて」
前向きな言葉をつないだ「旅立ちの日に」は、歌で学校再生に挑んだ埼玉県の公立中の校長と教諭が1991年に制作。この10年ほどで、卒業ソングとして全国に広がった。小ケ倉中で音楽を担当する塚原航太教諭は「中学生の心情をよく描いており、歌詞とメロディーが心に響く」と話す。
長崎新聞社が同市内の県立と市立39校(分校を除く)に式中と退場前に3年生だけで歌う曲名を聞いたところ、「旅立ちの日に」が最多の23校に上った。「知らずに卒業するのはもったいない」(山里中)、「例年卒業生が歌い、在校生にとってはあこがれの1曲になっているようだ」(香焼中)など、新たな卒業ソングとしての地位を固めている。
「仰げば尊し」は9校で「歴史があり、変更する理由もない」(淵中)と根強い支持も。9校のうち4校は「旅立ちの日に」も歌う“二刀流”だ。
■自 由
県教委によると、選曲は各校の自由。曲目は音楽教諭と生徒が相談して決めるケースが多く、Jポップを選ぶ学校もあった。生徒の希望で人気ボーカルグループ「GReeeeN(グリーン)」の「始まりの唄」を選んだ日吉中は「生徒の思いに重なる歌詞を選んでおり、感動は大きいのでは」。このほか、人気バンド、レミオロメンの「3月9日」やアンジェラ・アキの「手紙」を選曲した学校もある。合唱曲は東京電力福島第1原発事故で友人と離れ離れになった福島県南相馬市立小高(おだか)中の生徒たちが音楽教諭と作った「群青」や「絆」など。未来への希望や、苦楽を共にした同級生との別れを惜しむ曲が多い。
■流 れ
一方、「蛍の光」「仰げば尊し」を歌ってきた世代の中には、定番曲が消えゆく現状に寂しさを感じている人も少なくない。毎年、地域の中学校の卒業式に出席する深堀義昭市議(72)もその一人。かつて、地域の卒業式で「仰げば尊し」を聞けば、自分の恩師の顔が浮かび、学生時代に戻ったような感覚があった。だが約10年前から曲が多様化し「ここ5年は全く聞いていない」とぽつり。
長崎歌謡史研究家の宮川密義さん(83)は曲の多様化は「時代の流れ」と受け止めている。思い出の歌を聞けば、当時の記憶がよみがえってくるとして「将来、子どもたちの心が癒やされるような、時代に合った歌で送り出してほしい」と話す。(山口紗佳)
【写真】卒業式に向け、歌の練習をする生徒=長崎市、小ケ倉中
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VOICE!ちえ 23歳 会社員 長崎県
卒業式で定番曲である「蛍の光」と「仰げば尊し」を歌うことが少なくなっているようです。今では、「旅立ちの日に」やj-popを歌う学校がほとんどだそうです。私が中学校の卒業式で歌ったのも「旅立ちの日に」でした。「仰げば尊し」は高校で歌ったことがあったので、寂しくもあり、時代が変わっていったんだなと感じました。