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2014.03.18 update.

春の海 活気 いわき沿岸 待望シラウオ漁

福島民友新聞社 | 2014年3月18日掲載

民友01-0318東京電力福島第1原発事故のため漁を自粛していたいわき沿岸で17日、同海域では初めての試験操業が行われた。いわき市漁協の3隻が同市の久之浜漁港にイシカワシラウオを水揚げし、海の幸で活気づいた。また相双沿岸では昨年に続き、「春告げ魚」とされるコウナゴ漁の試験操業が始まった。沿岸漁業が動きだし、春の訪れとともに本県の水産復興を盛り上げる。
午前7時ごろ、久之浜漁港。朝日を背に、漁船が漁から戻ってきた。水揚げには漁師や家族が参加し、刺し網をたたくと、身の透き通ったシラウオが宙を舞うようにして落ちた。
「最初が肝心」。同市の漁師八百板正平さん(81)は形のいいシラウオを見極めながら、丁寧に選別作業した。
北海道出身の八百板さんは漁師として全国の海を渡り歩いた。親潮と黒潮が交わる豊かな漁場が気に入り、30代半ばでいわき市に移住。以来、沿岸で刺し網漁を続けた。原発事故で漁が自粛になっても、船や網の手入れを怠らなかった。
水揚げ後、八百板さんは「シラウオは花見に間に合うようにやって来る魚。今後は漁獲量を増やし、多くの人においしく食べてもらいたい」と笑顔を見せた。
「第五真勝丸」の新妻辰夫さん(71)は、東日本大震災の津波で漁船が流されたため、中古の船を新たに用意。妻の洋子さん(63)と一緒にシラウオを仕分けた。洋子さんは「震災で気持ちが閉じこもっていたが、水揚げが力になった。前を向いていきたい」と話した。
〈コウナゴ順調に2年目の水揚げ〉相馬双葉漁協
相双沿岸の試験操業には、相馬双葉漁業協同組合の原釜、新地、鹿島、請戸各支所から小型船70隻が出漁した。請戸支所のコウナゴ漁参加は震災後初めて。
相馬市の松川浦漁港には午前10時ごろから漁を終えた原釜支所の船が帰港、カゴに入れられたコウナゴを次々と水揚げした。他の3支所のコウナゴは陸送で同漁港に運び込まれた。水揚げは4支所合わせて約982キロで、同漁協によると例年よりもやや少ないという。コウナゴは生と乾燥状態で放射性物質検査を行い、いずれも不検出だったため市内などへ出荷された。コウナゴ漁は今後週2回、5月上旬ごろまで行う。
立谷寛治相双漁協試験操業委員長は「海に出て漁を行うのが漁業者の喜び。2年目も順調なスタートを切れた」と漁の喜びをかみ締めた。
〈いわき沿岸の試験操業〉
水深135メートル以深の沖合では底引き網漁の試験操業が行われているが、原発の汚染水問題などで、沿岸では見送られてきた。県の調査などから魚介類の安全性を示せると判断し、1月の県下漁協組合長会で沿岸での実施を決定。陸地から約10キロまでの海域で4月末まで、試験操業を行う。17日のシラウオ漁獲量は約6キロ。放射性物質検査の結果、1キロ当たり14ベクレルだった。18日にいわき市の公設市場に出荷される。
〈ズーム〉 イシカワシラウオ 青森から和歌山にかけての沿岸に生息するサケ目・シラウオ科の魚。すし、天ぷらなどのネタとして珍重。
コウナゴ スズキ目・イカナゴ科の魚イカナゴの稚魚。漢字では「小女子」。天日干しされ、おいしさを増す。

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VOICE!happy news特派員・馬場裕太 22歳 福島県

福島第1原発事故から3年が経過し、ようやく福島の漁業が以前の活気を取り戻しつつあるようだ。いわき市周辺の海域は海流が交わるということもあり、豊富な海産物が取れることが魅力である。震災から4度目の春が訪れた今、福島の豊かな自然と人々との結びつきを以前のように少しでも感じることができることをうれしく思う。福島で取れたおいしいメヒカリを心待ちにしながら、多方面での復興や、それ以上の繁栄を望むばかりである。

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