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2014.12.18 update.
大館最後の映画館「オナリ座」9年ぶり復活
ほぼ手作業でオナリ座を9年ぶりに復活させた切替さん
2005年に休館を経て廃業した大館市最後の常設映画館「オナリ座」が復活し、週末の金、土、日曜だけ往年の名作の上映を始めた。仕事の傍ら、手作業で開館にこぎつけた同市の会社経営切替義典さん(41)は、映画を楽しむファンの姿を見て「ようやくここまできた」と満足げに笑顔を見せた。
千葉県で通信施設工事会社を経営していた切替さんは、11年10月から大館市に長期出張した。仕事が増えたため昨年、会社も住民票も同市に移し、今月には家族も呼び寄せた。
昨年7月、会社事務所として入居したのがオナリ座だった。傷んでいた建物を事務所として使えるよう、出入り口などを従業員と修復した。
作業を見掛けた市民から「復活するんですね」と声を掛けられ、市内で映画館再開のうわさが立ち始めた。市民の期待を感じた切替さんは「じゃあ、やってみるか」と立ち上がった。
昨年10月以降、仕事を終えてから、照明と音響の取り付け、壁と床の模様替えなどを従業員の手を借りて作業した。消防設備と水回りは本職に頼んだ。市民の中からフィルムの映写技師を探しだすこともできた。
今月18日、フランスの港町を舞台にした「ル・アーブルの靴みがき」を上映し、再開にこぎつけた。鑑賞した市民から「映画館で見るとぐっとくる」「音が良かった」など、感謝の気持ちが次々に伝えられた。
上映作品は、フィルムで残る往年の名作洋画が中心となる。金曜の夜に1回、土日は複数回、1本を2週ずつ上映する。8月の1、2回目の週末は「鉄道員」、お盆休みを挟み、4、5回目の週末に「フレンチ・カンカン」を上映する予定だ。
訪れた観客の反応は上々だったが、採算を取るには厳しい現状。ステージがあるので、平日はイベントホールとしても活用していく。切替さんは「維持していくための苦労は覚悟している」と映画文化の灯を消さないよう気持ちを引き締めている。
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VOICE!応募作品から 40代 宮城県
唯一の趣味が映画鑑賞である私は、数々の作品を見てきた。近年、郊外型シネマコンプレックスが増え、快適に鑑賞ができるが、私の中での映画館とはまさしく「オナリ座」のような古き良き時代のもの。 この記事に出会い、感激で心が震えた。市民の期待に応えての復活、しかも手作業での修復。フィルムの回る独特の音や、もぎりのお姉さんの姿、名作映画のシーンなどが鮮明によみがえってきた。採算を取るには厳しい状況とのことだが、私のような世代やご年配の方には懐かしさに浸れる空間だと思うし、若い方には味のあるむしろ新鮮な感覚を持ってもらえたらと切に願っている。 維持する苦労は覚悟と話す切替さん。私のように心から喜び、感謝している方はたくさんいるはずです。 このあたたかな優しい灯が長く続くことを願い、できる限り足を運ばせていただこうと思う。