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2015.07.09 update.

東松島の高橋さん(72) 鉄路と共に50年

河北新報社 | 2015年5月30日掲載

仙石線きょう全線再開/乗車心待ち/東松島の高橋さん(72)鉄路と共に50年/「あちこち旅したい」

地元に復活するJR仙石線の響きを心待ちにする女性がいる。東松島市新東名の主婦高橋イチ子さん(72)。車の免許がなく、東日本大震災までの約50年間、仙石線は暮らしと共にあった。「命があり、再び乗れるのは幸せなこと」。思い出が詰まった鉄路が全線再開する30日、車両に乗り込む。

全線再開を控えた21日、津波で被災した同市の野蒜駅の旧駅舎を訪れた。ホームはひびが入り、所々に草が生える。約500メートル内陸側の高台に新駅舎が見える。「今度は安心して乗れる。それが一番だね」
県北部出身。旧駅舎近くの美容室で15歳から60歳ごろまで働いた。満員列車からホームに降り立った観光客らが、海水浴へ向かう往時の光景が目に浮かぶ。
20代で結婚し、隣駅の東名駅(東松島市)の近隣で暮らした。「嫁いだばかりのころ、通過する電車の振動で家が揺れて寝られなかった」と懐かしむ。仙石線に乗り、通勤のほか、夫の繁さん(1994年に57歳で死亡)や3人の子どもと八木山動物公園(仙台市太白区)へ遊びに行った。石巻市の病院へも通った。
2011年3月11日。美容室は津波で流され、親族2人が犠牲になった。自宅は1階が浸水した。「やんだくなり、何もしたくなくなった」。数カ月で体重が5キロ減った。
震災後、鉄道との不思議な縁を感じる出来事があった。JRの労働組合関係者らがボランティアで自宅のヘドロを除去するなどしてくれた。一緒にお茶を飲み触れ合ううち、生気を取り戻し体重が回復した。
ことし3月、ルートが変更された東名-野蒜間を歩く「レールウオーク」に参加した。線路の復旧状況をいち早く確認したかった。
仙台と石巻が30日、再び鉄路でつながる。「友達とあちこち旅したいね。仙台の娘の所へ行こうかな。石巻の復興の様子も見に行きたい」。再開後に思いをはせ、声を弾ませた。

【写真】野蒜駅の旧駅舎のホームにたたずむ高橋さん。仙石線の全線再開を喜ぶ

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VOICE!happy news特派員・yama 大学2年 宮城県

私も仙石線で通学しています。仙台からの帰り、電車の電光掲示板の行先が、途中の高城町駅から終点の石巻駅になった。同じ路線を使う高橋イチ子さんと復旧の喜びを共感できた。

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