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2015.09.14 update.
<視的好奇心>稚内公園・遊歩道の蓄光石 瞬く天の川 舞い降りた
宗谷海峡を見渡せ、昼間は観光客でにぎわう稚内市中央1の稚内公園。静まりかえった夜、空に天の川が現れた。足元の遊歩道には、まるでもう一つの天の川のように無数の石が光る。
公園の駐車場から樺太慰霊碑、氷雪の門まで続く約30メートルの遊歩道には、昼間、太陽光を蓄積し、夜間、光を放つ「蓄光石」が埋められている。親指大の白い石で、日没から4時間ほど青や緑に淡く光る。3年前、夜間の安全対策と景観の向上のため敷設された。
遊歩道を少し歩くと、花束が供えられたもう一つの慰霊碑が目に入る。終戦直後の1945年8月20日、旧ソ連軍の侵攻の中、当時日本領だった樺太の真岡(ホルムスク)郵便局で9人の女性電話交換手が青酸カリを飲み、集団自決した。「皆さんこれが最後です さようなら さようなら」。慰霊 碑には女性局員の最終通信が刻まれている。
東京都から訪れた石塚秋子さん(54)は「知らなかった。こんな悲しいことがあったなんて」。蓄光石の光は夜が更けるとともに弱くなり、やがて消えていった。(写真・文 富田茂樹)
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VOICE!応募作品から 30代 北海道
まさに奇跡の一枚であり、新聞は読むものであるという自分の中の固定観念を打ち破った。視的好奇心なんていうシリーズ名も面白い。天と地に広がる天の川。こんな風景があるのを知っているとは、さすが我が地元新聞の記者である。記事を読めば、ここは昼間は観光客で湧き立つ稚内公園であり、戦時中、樺太で亡くなった日本人の為の慰霊碑、氷雪の門が立っている場所とのこと。戦後70年と言いながら、地元の北海道民である30歳の私は恥ずかしいことにそんな場所があることを知らなかった。この「天と地の天の川」写真を目にしたからこそ、気になって本文まで読むことができたのはhappyという言葉より、幸いだったという方が似合っているように思う。記事は読むものであるというのは確かに正論だが、読むに至らなければ単なる紙でしかない。だが、私という一人の人間を風景写真が呼び留めた事実から、新聞は視て知るべきものであるということも齢三十にして改めて気づかされた。見方を変える。これからもっと大人になっていく上で、大変、学びのある記事と出会えた。