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2015.08.14 update.
しずおか戦後70年=読み、平和思う夏 戦争関連本、出版相次ぐ
終戦から70年を迎え、戦争の実態を振り返り平和の大切さを訴える書籍の刊行が相次いでいる。書店はフェアを開き、出版社も関連企画に意欲的。安保関連法案の国会審議などで平和への関心が高まる中、「読んで考える夏」を提案している。
静岡市葵区の谷島屋書店呉服町本店は7月から「戦後70年-今、戦争を考える」と題し、店舗入り口付近に特設コーナーを開いている。戦争体験者の証言集、零戦や戦艦大和を取り上げた書籍など約100点が並ぶ。店員の原川清美さんは「戦争関連の中でも『戦後70年』というキーワードが入った本がよく売れている」と話す。
コーナーにはさまざまな世代の客が足を止める。安保関連法案の審議を注視しているという同区の無職女性(62)は「この夏に戦争の悲惨さをもう一度見詰め直したい」と写真集を手に取った。
同店やMARUZEN&ジュンク堂書店新静岡店(同区)は、子ども向け絵本や図解を載せた書籍なども幅広くそろえた。新静岡店店長の森本究さんは「親子一緒に平和について考えるきっかけになれば」と期待する。
出版社も特別な年と位置づける。岩波書店は7月初旬の東京国際ブックフェアで戦後70年特集に特化したブースを開設。安倍晋三首相が発表する戦後70年談話を意識した新刊「私の『戦後70年談話』」では、医師日野原重明さんら文化人41人の次世代への提言を収めた。岡本厚社長(61)は「社を挙げて今年の企画を準備してきた」と熱く語る。講談社はイラストレーターの山藤章二さんらが記す「戦後70年わたしの戦争体験」を刊行した。
夏を過ぎると戦争への関心が薄れるといわれる中、秋以降も注目を保とうとする動きもある。吉川弘文館は、戦闘機の速度といった細部まで網羅する800ページの「アジア・太平洋戦争辞典」を10月に発売予定だ。編集者の若山嘉秀さん(41)は「戦争を考えるのは8月だけではない。長く興味を持ち続けてほしい」。ある編集者は「今年だから出せる本もあり、70年の意義を感じる。安保議論も追い風になる」と語った。
【写説】終戦から70年となる今年の夏。静岡市内の書店にも戦争関連のコーナーが設けられている=5日、同市葵区の谷島屋書店呉服町本店
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VOICE!happy news特派員・しらやなぎ 26歳 会社員 静岡県
終戦から70年の節目を迎える今年。過去の悲惨なできごとを後世に伝えようと、全国各地で催しが開かれている。そんな中、戦争にまつわる本の出版も多くなっているという。戦争が終結してから70年が経ち、戦争体験者から直接話を聞くことができる機会はそう多くない。証言や記録をまとめた書籍は、社会にとって貴重な財産になるだろう。書店には、子供向けの絵本や図解も多く並んでいるようだ。家族で考えるきっかけになればと思う。たとえ何十年経っても、多くの人を悲しませた戦争の事実は変わらない。ただ一過性のブームで終わらせず、継続的に読み継いでいかなければならない。