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2015.09.04 update.
◆作家の門井慶喜さん
◆歴史小説テーマ現代的に
作家の門井慶喜さんは今夏、歴史ミステリー小説「東京帝大叡古(えーこ)教授」(小学館)が直木賞候補になり、注目された。初の単行本を刊行したのは9年前、30代半ばのことだったが、作家になることだけは、まだ小説を一編も書いた経験がなかった大学時代に決めていた。
「東京帝大―」の舞台は、日露戦争時の明治後期。政治家志望の「私」が熊本から上京し、政治学者の宇野辺叡古(うのべえいこ)と殺人事件の謎に挑む。徳富蘇峰や夏目漱石ら実在の人物も登場する。
蘇峰が主宰した「国民新聞」など当時の史料を集めた。小説をどこまで事実に基づいて書き、どの程度を創作で埋めるか。その加減は「史料が教えてくれる」という。
2003年にオール読物推理小説新人賞を受賞。ミステリーを書いてきたが、近年は歴史上の人物を題材にするようになった。
だが「歴史の謎を解くような話を扱っているので、ジャンルを変えたという意識はない」。また歴史小説であっても「テーマは極めて現代的でなければならない」ことを自らに課している。
徳川幕府最後の将軍と同じ名前は、歴史好きで、その将軍を「大賢人」と評価する父から与えられた本名。小学校に入ると、国語辞典を「本は最初から読まなければいけない」と思い、読了。その後読んだ学習漫画を入り口に、自らも歴史が大好きになった。快活な語り口から、その「歴史愛」がほとばしる。
宇都宮市で高校を卒業後、「幕末好き」が高じて京都にある同志社大に進学した。「たくさんの他人に囲まれる中で自分のことが分かるように、自分の姿を相対的に見られるのが歴史の面白いところだと思います」
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VOICE!happy news特派員・とめこ 19歳 大学生 福島県
先日選考会が行われた直木賞。東山彰良さんの『流』が受賞作として話題になっているが、この記事で紹介されているのは、同じく直木賞候補作となった『東京帝大叡古教授』の作者・門井慶喜さん。記事のなかで特に驚いたのは、「本は最初から読まなければいけない」と思い、国語辞書を読了したこと。私も日常的に本を読むが、参考文献は必要だと思うところだけを読むことが多く、小説以外は最初から読むことが少ないし、今まで辞書を最初から読むということはしたことがない。直木賞候補作となった『東京帝大叡古教授』は歴史小説でありながら現代的なテーマのミステリ小説であるという。受賞作も魅力的だが、候補作にも心ときめくものがある。この記事をきっかけに門井さんの候補作、『東京帝大叡古教授』を読んでみたいと思った。