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2015.10.02 update.

廃校 広がる再活用

中国新聞社 | 2015年9月19日掲載

廃校 広がる再活用

 廃校となった学校を店舗や文化・福祉施設などとして再活用する動きが、中国地方で広がっている。地元の自治体や住民が知恵を結集。かつての「学びや」は高齢者の暮らしを支えたり、過疎地に新たなにぎわいをもたらしたりしている。(教蓮孝匡)

 山あいに水田が広がる雲南市掛合町波多地区。2008年に閉校した旧波多小の教室に、買い物袋を提げた人が集う。地元住民組織が運営する常設スーパー「はたマーケット」。昨年10月、教室1室を改修してオープンした。食料品や生活雑貨、酒、たばこなど約700点が売られている。週1回のまとめ買いに訪れた女性(81)は「何でもそろう店が近くにできて助かってます」と豆腐やブドウを買い求めていた。

 人口約350人の同地区では昨春、唯一の食料品店が閉店。一番近くの店まで約10キロあり、住民は不便を強いられた。住民組織「波多まちづくり協議会」は市や納入業者と協議。交流施設でもある校舎の指定管理料に加え、スーパー運営に対して市の交付金を受けて開業にこぎ着けた。初期投資の約500万円は公的助成金や同会の積立金、寄付などで賄った。

 配達や送迎サービスにも取り組み、売り上げは月100万円を上回る。同校卒業生でもある山中満寿夫会長(69)は「時の流れを感じますが、古里で誰もが不自由なく暮らせるための店として大切に営みたい」。

 山口県周防大島町の旧油良小も、高齢化の町を支える拠点に生まれ変わった。同町社会福祉協議会が介護予防事業の拠点「橘ふれあいかんころ楽園」として使用。月延べ約70人が利用している。

 行楽スポットとなった学びやもある。広島県神石高原町の「学校食堂」。木炭ストーブのある教室で、学校給食を再現した定食や特産の神石牛を味わえる。住民グループの神石高原町くるみる会(徳永進会長)が町から旧井関小を借り、08年に始めた。

 同県北広島町の旧田原小を改修した温泉宿泊施設「田原温泉5000年風呂」も年約5万人が来館。山あいの町に、にぎわいを呼んでいる。

 文部科学省によると、2002~13年度の12年間で全国5801校の公立学校が廃校になった。うち中国地方5県は計571校。広島県は194校と全国で6番目に多い。放置すれば崩壊や治安悪化を招きかねない。

 校舎を転用する際、所有者である自治体に課される国庫補助金の返納義務も壁になっていた。そこで文科省は08年度、自治体が負担する条件を大幅に緩和。活用例をホームページで紹介し、廃校を持つ自治体と活用したい企業・団体とをつなごうとしている。

 全国の廃校のうち、7割が再活用されている。用途別では、専門学校などの「学校」33%▽体育館などを使う「体育施設」21%▽研修所などの「教育・文化施設」15%―などだ。

 近年増えているのが企業参入だという。例えば、鳥取県湯梨浜町の旧羽合西小は民間農場に姿を変えた。物流会社が教室や校庭、プールを改修。ビニールハウスでのコマツナ水耕栽培などを手掛けている。

 起業家支援の舞台となっているのは、島根県隠岐の島町と岡山県西粟倉村の旧小学校。いずれも企業が教室を貸しオフィスに転用。県内外から集まった入居者は、海産物や木材など地場産品を生かしたビジネス機会を探っている。

 このほか美術ギャラリー、保育所、学生寮などとして各地でリニューアルが進む。廃校活用に詳しい徳山高専の熊野稔教授(都市計画)は「うまく活用すれば、地域経済の刺激や雇用確保にもつながる。ただ、今の耐震基準を満たさない建物も多く、低コストでの再活用は容易でない。自治体は公募なども試みながら、地域ニーズを満たす活用法を探ることが必要だ」と話している。廃校利用・紙面

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!happy news特派員・中山 小己 20歳 大学生 広島県

 記事によると、全国で毎年多くの学校が廃校になっているようです。母校が廃校になり静まり返っている姿を見るのは、なんだか寂しい気持ちになるに違いないでしょう。

 そこで、廃校になってしまった学校を再活用する動きが広まっていることを知りました。校舎は、スーパーマーケットや食堂、専門学校など、あらゆる姿に生まれ変わっており、地域の身近な存在として新たに役立っています。このような活動は地域経済を活性化させるだけでなく、地域住民のコミュニケーションの場を広げる役割も果たしていると思いました。それによって、地域住民同士のつながりの大切さを再確認する機会も増えるのではないかと考えます。

 ユーモアがあり、話題性にも富んでいるので、若い世代の人々の利用も期待できそうです。校舎の面影が残った食堂は、新鮮ながらどこか懐かしい雰囲気が楽しめそうで、とても興味深いです。

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