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2015.12.04 update.

思い出を救いたい

河北新報社 | 2015年10月19日掲載

思い出を救いたい/宮城豪雨でぬれた写真/大崎の千葉さん、洗浄ボランティア/震災時のノウハウ生かす/「捨てる前に相談を」

大崎市田尻で写真店を営む千葉英樹さん(69)が、9月の宮城豪雨でぬれた写真やフィルムを洗浄するボランティア活動を続けている。東日本大震災でも津波で流出した写真の洗浄ボランティアをした千葉さんは「思い出の詰まった一生の宝を一枚でも多く救いたい」と話す。
ボランティアを始めたのは9月下旬。これまでに5人から約3500枚の写真を預かった。「震災の時に比べて気温が高いため、バクテリアやカビの増殖が早い」。千葉さんの手元にある写真の束は四隅が癒着し、赤さびのような色に変色していた。
大崎市古川稲葉の会社員石井めぐみさん(35)は、市災害ボランティアセンターに千葉さんを紹介され、約1000枚の写真の洗浄を依頼した。アパート1階の自宅が豪雨で床上浸水し、撮りためた写真2000枚以上がずぶぬれになった。
写真は、いつもカメラを持ち歩いている石井さんが、友人や家族との一こまや行楽地の思い出などを撮影してはプリントした宝物ばかり。震災の津波で石巻市の実家が浸水した際は2階に保管していて難を逃れたが、その後に運び込んだ大崎市のアパートで水害に遭った。
「いずれは水に漬かる運命だったのかな」と一時は落ち込んだ。千葉さんの手できれいになり、臭いもしなくなった写真を手に「捨てるしかないと思っていたのでうれしい」と喜ぶ。
千葉さんは「8〜9割の写真は救える。洗って無事だったフィルムからプリントし直すこともできる」と話す。
震災の際、千葉さんは名取市閖上や宮城県山元町で写真・フィルムの洗浄ボランティアを行った。「その時のノウハウを生かし、地元の大崎市で困っている人を手助けしたい。捨てる前に相談してほしい」と呼び掛けている。連絡先はチバフォート0229(39)0535。
【写真】洗浄を終えた写真を確認する千葉さん(左)と石井さん

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この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!happy news特派員・chiba 学生 宮城県

 大崎市で写真店を営む千葉英紀さんが9月の宮城豪雨でぬれた写真やフィルムを洗浄するボランティア活動を続けている記事を読んで、心が励まされた。私はこれまで、自分の思い出を収めた写真というのがあまり好きではありませんでした。「昔の写真なんか見てどうするの?」と感じてしまうからです。だからこの記事を読んだ時、わざわざ写真を修復する意味って何なのかなと考えさせられました。自分の引き出しにしまってあった「思い出たち」を見直してみると、小学校の同級生と一緒に写った写真や中学校の部活仲間との写真…懐かしいなあ。でも、懐かしいだけではありませんでした。昔は、大学生がずいぶん大人に見えたけれど、今の自分はどうだろう。昔の友人たちは今、何をしているか、私も頑張らないと。写真の中の自分や友人に叱咤激励されているような気がしたのです。写真は過去を懐かしむためだけのものではないことをこの記事は教えてくれました。

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