HAPPY NEWSハッピーニュース
2016.03.11 update.
県内古書店 復活に光 ネット通販が追い風 無店舗型も続々 希少書扱い強み
社会的な読書離れや新古書チェーン店の影響で街から消えかけていた古書店が近年、復活の兆しを見せている。県内では2000年代初頭に落ち込んだ店舗数が徐々に戻り、特に中、西部で出店が目立つ。けん引するのはインターネット通販。販路が全国に拡大したことで、古書店本来の強みが引き出された格好だ。
「店頭販売しかない一昔前なら、古書店経営は無理だった」と語るのは吉田町住吉の戸塚祥太朗さん(27)。3年前、通販専門の無店舗型古書店を開いた。扱うのは和本や古文書などの専門書籍。ネットを通じて全国から購入があり、大学や行政の注文もあるという。戸塚さんは「学生時代に古文書を学んでいたので、何らかの形で関わり続けたかった。無店舗経営が可能なネット通販は開業資金が少なくて済むのも魅力」と明かす。
県古書籍商組合連合会関係者によると、現在の連合会加盟店は46店舗で、一時は三十数店舗に減少した低迷状況から脱しつつある。ネット通販が追い風になり、それまで店頭販売するしかなかった古書店にとって販路が全国に広がると同時に、絶版本や研究書などの希少書籍を取り扱う“オンリーワン”の特性を際立たせたという。
ネットを足掛かりに原点回帰した店もある。静岡市葵区南沼上の太田書店は15年前に市内の店舗を閉店して以降、営業は通販専門だったが、2014年5月に同区七間町で店頭販売を再開した。狙いは仕入れ強化。太田耕一郎社長(48)は「ネット通販は顔が見えないため、買い取りが先細りになりがち。店頭販売の再開にはその弱点を補い、将来も良い本を仕入れられるようにする意味合いがある」と話す。
浜松市中区中沢町で6年前に開業した飯尾雅彦さん(61)は小学生の郷土学習の受け入れや大学生と連携した史跡マップ作成など、地元に密着した店舗を目指す。「郷土書籍が豊富な古書店は地域文化の集積地のような存在。もっと店舗が増え、文化の香るまちになれば」と夢を膨らませる。
【写説】膨大な古書の中から注文が入った1冊を探す太田耕一郎社長。ネット通販を足掛かりに、県内古書店は復活の兆しを見せている=18日、静岡市葵区
この記事でHAPPYな気持ちになったら
VOICE!happy news特派員・うんの 25歳 会社員 静岡県
学生時代に趣味でロシア語を勉強していたころ、英語やフランス語と比べると学習人口が少ないせいか、ロシア関連の本や参考書探しに苦労しました。店頭販売では、どうしても「売れる本」「話題の本」が多く置かれる傾向にあると感じます。このような形で、大量生産はされなくても特徴のある本がネット通販を通じて広がり、残り続けていくことを願います。