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2016.10.27 update.

一人で苦しまないで

東京新聞 | 2016年10月10日掲載

一人で苦しまないで

がん患者支援施設「マギーズ東京」

がん患者や家族が気軽にいつでも、看護師ら専門職から支援を受けられる施設「マギーズ東京」が十日、東京都江東区豊洲にオープンする。英国発祥の「マギーズセンター」の日本第一号で、無料、予約なしで相談に乗り、思いを受け止める。建設費はすべて寄付で賄われ、センター長の秋山正子さん(66)は「患者らが自分の力を取り戻し、前向きに生きられるきっかけとなる場所にしたい」と語る。 (竹上順子)

マギーズセンターは、乳がんで亡くなった女性造園家のマギー・ジェンクスさんの遺志を継ぎ、一九九六年に英国で開設された病院外の相談施設。英国や香港などの計約二十カ所に広がっている。開放的な空間にキッチンやリビングを備え、家庭的な雰囲気の中で患者や家族、専門職らが対話を重ねるのが特徴だ。

その理念を受け継いだマギーズ東京は平日午前十時~午後四時に開館。看護師や臨床心理士が常駐し、病気や治療、仕事、暮らしなど、さまざまな話ができる。

庭と約八十平方メートルの平屋の建物二棟がある。内装には木材がたっぷりと使われ、大きなダイニングテーブルのあるオープンキッチンや相談室、一人になれる部屋などがある。お茶を飲みに来るだけでもいい。

看護師で、姉をがんで亡くした秋山さんと、がんを経験した会社員の鈴木美穂さん(32)が共同代表を務めるNPO法人が運営を担う。

建設費三千九百万円はインターネットの「クラウドファンディング」をはじめ、患者、がんで肉親を亡くした家族、一般らの寄付で全て賄った。建設計画が立ち上がってから二年半で、約三千人が協力し、七千万円が集まった。英国のセンターと同様、今後の運営も全て寄付で賄われる。

十日午後一時からは内覧会やチャリティー抽選会が開かれる。

問い合わせは、マギーズ東京=電03(3520)9913=へ。

元患者や家族の思い結実

マギーズ東京には、がん経験者や家族らの「つらい思いをする人が、一人でも減ってほしい」との願いが込められている。

「こういう場所が欲しかった」。がんの経験から寄付をした会社員土佐美智子さん(49)=埼玉県ふじみ野市=とスクールソーシャルワーカー小川貴代美さん(53)=東京都板橋区=は、ボランティアとしてもセンターに協力していく。

十一年前、医師から子宮体がんだと告げられた土佐さんは、待合室の片隅で二時間以上泣き続けた。通院治療を始めたが、他の患者と知り合う機会はなく、短い診察時間では医師や看護師らと話す余裕もなかった。「二年前に患者のイベントに参加したのをきっかけに、ようやく気兼ねなく話せる仲間と出会えるようになった」。

三年前に大腸がんと診断された小川さんは、医師や家族に支えられながらも、がんや死への恐怖にのみ込まれていた。「マギーズの人たちと出会うまで、空を見ることも忘れていた。もう誰にも、そんな思いはしてほしくない」

会社員の加藤優香里さん(29)=大田区=は十一歳の時に父親をがんで亡くした経験から、寄付をした。「信念があれば人々を動かすことができると分かった。自分にできること、果たしたいことを世の中に提案していきたい」

建設工事に入る直前、共同代表の秋山正子さんや鈴木美穂さんが、資金不足から「窓のサッシが金属製になりそうだ」とホームページで報告したこともあった。この時は、数日で三百万円以上が集まった。鈴木さんは「マギーズ東京は『この場所が本当に必要だ』と思う人たちの愛情と優しさでできている」と語る。%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e3%83%88%e3%83%aa%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e6%b8%88%e3%81%bf20161010-27

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がん経験者や家族の「つらい思いをする人が、一人でも減ってほしい」との願いが込められた病院外相談施設「マギーズ東京」が東京・豊洲にオープンしました。クラウドファンディングなどに約3000人が協力し、集まった寄付7000万円で建設費や今後の運営費を賄います。

患者や家族らはがん医療に詳しい常駐の看護師や臨床心理士と話をしたり、お茶を飲みながら静かに過ごしたり、一人部屋で寛いだり、自由に過ごせます。あたたかな雰囲気の中で、ありのままでひと休みできそうですね。

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