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2017.03.28 update.
選抜高校野球 沖縄の家族へ満塁弾 母〝定期便〟で激励、要に成長 秀岳館3年の幸地選手
第89回選抜高校野球大会の23日の初戦を11得点の猛打で快勝した秀岳館(熊本県八代市)。攻守の要となった幸地(こうち)竜弥捕手(3年)は、今年福岡ソフトバンク入りした前主将・九鬼隆平捕手の後を継ぐ期待の星。故郷の沖縄から支えてくれたアルプス席の家族に満塁弾で応えた。【20面参照】
五回表2死満塁。幸地捕手は直球を振り抜き、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。沖縄県南城市から駆け付けたアルプス席の両親、香さん(46)と一夫さん(55)は「目の前で満塁ホームランを見せてくれるなんて」と涙を浮かべた。
幸地捕手は軟式野球の経験しかなかったが、中学時代に練習を見学した縁で秀岳館に進んだ。「親は不安ばかり。でも、本人の意志が強かった」と香さん。
部員約100人の強豪校。県外出身者が大半の寮生活は当初、人見知りの幸地捕手にとって苦痛だった。入部2日後、「もう、帰りたい」と弱音を吐く息子に、香さんは「踏ん張りどころよ」と諭すしかなかった。
香さんは、週に1度は無料通信アプリLINE(ライン)で近況を聞いた。月1回の仕送り時は、大好物の揚げ菓子サーターアンダギー50個を早朝から作った。「懐かしい味。元気が出た」と幸地捕手。だんだんと寮生活にも慣れ「今は八代が第二の故郷」と話す。
「九鬼以上」(鍛治舎(かじしゃ)巧監督)の強肩を買われて昨夏、新チームの正捕手に抜てきされた。秋の九州大会。香さんは仕事の合間を縫って熊本に足を運び、無理な時は職場のラジオで応援した。
迎えた春の大舞台。ダイヤモンドを一周した息子の姿に一夫さんは「たくましくなった」。試合後、報道陣に囲まれた幸地捕手は「家族に自分なりの全力プレーを見せられた」とはにかんだ。(一ノ宮史成)
【写真】七回の守備が終わり、ベンチ前でナインと話す秀岳館の幸地竜弥捕手(中央)=甲子園(撮影・軸丸雅訓)
【写真】五回表、幸地竜弥捕手が満塁弾を放ち、アルプス席で喜ぶ母の香さん(中央)ら家族=23日午後0時半すぎ、甲子園
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VOICE!コウ 24歳 会社員 長崎県
選抜高校野球大会が連日続いている。これまでは中継を見ることなどほとんどなく、結果はいつもニュースで知る。試合にそれほど興味を持ったこともなかったが、そんな私でも幸地選手の満塁弾は見ていて気持ちが良かった。しかし、力のある選手にも苦しかった時期は当然ある。記事は入部当時の幸地選手と支え続けた家族について伝えている。家族が息子を大切に思う気持ちと息子が両親に心から感謝していることがひしひしと伝わってくる。読んでいて胸が熱くなった。スタンドからの声援を受け、白球を追いかける高校生。勝ち進んだ選手にも涙をのんだ選手にもそれぞれの物語がある。次はどんなストーリーが生まれるのだろう―。そんなことを思うと、自然とリモコンに手が伸びる。