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2017.04.26 update.
女性の目線で磨いた車と技/板金塗装の小禄さん 丁寧さ評判/沖縄市で起業/「好きな仕事で幸せ」
【中城】村久場区の小禄さつきさん(36)は県内では珍しい女性の板金塗装工だ。近年、ペンキや薬剤の臭い、汚れが敬遠され、若者の塗装工離れが著しい中、小禄さんは「車の傷を直すこの仕事が好きでたまらない」と起業。自動車修理工場などの関係者は「ペンキの飛散を防ぐマスキング作業には女性もいるが、板金、塗装の一連の流れを1人でこなすのは県内で珍しい」と熱いエールを送る。
小禄さんは運転免許を取って間もない18歳の頃、ブロック塀にこすり、車を傷つけてしまった。その際、車好きの友人が自宅でサンドペーパーをかけて塗装。傷痕が全くない元の姿で戻った愛車に感動した。「自分で車を直したい」との思いに駆られ、板金塗装工を目指した。
県内の自動車修理工場を訪ね歩き、修業を申し出たが「女性が? 汚れで長続きしないよ」とことごとく断られた。その後、埼玉県八潮市で働いていた19歳の時、市内数カ所を訪ね、ようやく大型車の板金塗装工場で雇ってもらったという。
当初は「女性だからすぐ辞めるだろう」と軽く見られていたというが、元々手先が器用で車好きの小禄さんは、先輩や同僚から懸命に仕事を学び、丁寧な作業をこなして技に磨きをかけた。6年間の在職中に「金属塗装1級技能士」の国家資格も取得した。
25歳で沖縄に帰郷。子育て中でペンキや薬剤の影響を心配し、一時うるま市の車工場で働いていたが、「やっぱり自分には板金塗装業がベスト」と一念発起。今年2月初め、オートバイツーリング仲間の名嘉山聡さん(48)が経営する沖縄市大里の「ヒロオートデンソー」の工場をシェアし、起業した。まだ短期間だが、きめ細やかな作業とツーリング仲間の口コミで評判を呼び、客が着実に増えつつある。
中城村南上原区の「オートガレージ真」の比嘉真人さん(46)は「女性の細やかさはまねできない。男女問わず若い世代が続いてほしい」とエール。
小禄さんは「自分の好きな仕事に就くことができて幸せ。技の向上を目指し、特に若い人へ技術指導をしたい」と意気込みを語った。問い合わせは電話090(5768)9396。(翁長良勝通信員)
【写真】板金・塗装作業に励む小禄さつきさん=沖縄市大里のヒロオートデンソー
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VOICE!チェシャ猫 24歳 会社員 沖縄県
技術職には「きつい・汚い・危険(3K)」といったイメージが先行しがちで、「なり手がいない」「入ってもすぐ辞める」といった悩みを業界の人から聞いたことがあります。そんな中、小禄さんは女性ですが、この業界に飛び込みました。複数の工場から断られても、板金塗装工として働くことをあきらめなかった小禄さんの根気強さ、そしてお子さんを抱えながら起業までこぎ着けたチャレンジ精神の強さに同じ女性として感銘を受けました。
「自分の好きな仕事に就くことができて幸せ」という小禄さんの言葉も印象的です。私も小禄さんのように、やりがいを持っていきいきと日々の業務に取り組みたいです。この記事をきっかけに、男女関係なく若い人が「板金塗装工」という仕事に興味を持ってもらえたらと思います。