BACK INDEX

HAPPY NEWSハッピーニュース

2017.05.26 update.

旧防衛庁の桜、未来に継承

産経新聞社 | 2017年4月6日掲載

旧防衛庁の桜、未来に継承 東京ミッドタウンで子孫植樹

戦後日本の安全保障を見守ってきた貴重な桜を未来に残そうという取り組みが行われている。3月に開業10周年を迎えた港区赤坂の旧防衛庁跡地の複合施設「東京ミッドタウン」。今年も咲き誇る150本の桜のうち47本(港区立檜町公園部分を含む)は、旧防衛庁から引き継がれたものだ。(重松明子、写真も)

「桜の幹が黒くゴツゴツしているのが、旧防衛庁の桜です」と、東京ミッドタウンマネジメント取締役、清水一章さん(56)。

新たに植えた若いグレーの幹と比べると一目瞭然。樹高平均12メートル、幹周が2メートル近い木もあり、古武士のような風格が漂う。「ソメイヨシノの寿命は60~80年といわれるが、防衛庁発足(昭和29年)から60年が過ぎ、その時期にさしかかってきた。10年20年先を見据えて、今ある桜の”DNA”を未来に残していかなければ」。清水さんは同社の「桜継承プロジェクト」の責任者だ。

◆枯死がきっかけ

平成25年、旧防衛庁から引き継いだ桜の1本が枯死したことがきっかけ。「桜は日本の象徴。歴史的にも意味のあるこの地の桜をなんとか残したいと、プロジェクトが立ち上がりました」

幹の皮をがして取木し、茨城県の圃(ほ)場へ移送。さらに接木用の枝を採取して育て、30本の苗木が3年半で約2メートルにまで成長した。3月30日、そのうちの1本を開業10周年の記念樹として芝生広場に植えたばかりだ。植栽管理担当の木村駿佑さん(27)は「旧防衛庁の親木も2本目以降の枯死は防げている。長生きしてもらいながら、子孫を大きく育てて、いざというときに代替わりして植えられるように、しっかり手入れをしたい」

記念樹のプレートには「開業前からこの地に咲いていた桜の子孫を植樹しました」とのみ書かれてある。世界情勢と日本の国防を見守り続けた「旧防衛庁の桜」は、積極的にPRされることはなく、保存活動もこれまでほとんど知られることはなかった。しかし一方では、かつての”職場の花”を懐かしがって東京ミッドタウンを訪れる自衛隊OBも少なくない。「語り部のように、昔の様子を教えてくださったりします」と木村さん。

◆保存活動に感激

「昔はおおらかで、若い頃はこの桜の下で終業後に花見酒をしていた」と語るのは元陸将(80)。「散り際の潔い桜は武士道の象徴であり、その精神は『事に臨んでは危険を顧みず』と誓って、国民の負託に応える自衛隊員にも受け継がれてきた。防衛庁の桜が、民間に引き継がれた後も大切に守られていることは本当にありがたい。それは、大和魂を守ることにもつながる」。現役時代の思いに桜を重ね、保存活動に感激していた。

無断転載不可

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!ナツミ 22歳 大学生 東京都

「桜は日本の象徴」という考えのもと、歴史や伝統を後世に残したいという気持ちに感動した。私自身は歴史や伝統を残そうという意識を持てていないが、普段は注目されにくい人たちの働きを記事で読み、背景を知ることでこの桜にノスタルジックな感情を持てた。記念樹のプレートにはそういった背景などは記されていないみたいだが、この記事のような文面が記念樹の近くに添えてあれば、その桜を見る目が変わるきっかけになるのではと考えた。

HAPPY NEWS SHARE RANKINGHAPPY NEWS facebookシェア ランキング