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2017.05.09 update.

24時間訪問介護参入伸び悩み

山梨日日新聞社 | 2017年4月24日掲載

現場発/24時間訪問介護参入伸び悩み/県内 特養増でも待機減らず

特別養護老人ホーム(特養)が年々増加しているにもかかわらず、特養に入所を申し込んでも入れない待機者は減らない-。山梨県と厚生労働省が実施した調査から、県内でこんな現実が浮かび上がっている。高齢化が進むペースに施設整備が追い付いていない実態がのぞくが、建設や運営に費用がかさむ特養の整備には限界も。厚労省が在宅中心の介護への転換を進める中、県が推進する24時間対応型の訪問介護・看護サービスへの事業者の参入は低調で、特養待機者が減らない現状は施策の停滞を映している。

「まだ眠いかな。車いすに座って食事にしようか」。22日昼すぎ、甲府市飯田4丁目の古屋正紀さん(86)方を、24時間対応型サービス事業者「ヘルパーステーションいけだ」(甲府市)の都築紀子所長が訪問。都築所長は口から食事ができない古屋さんの胃ろうに昼食として半固形の栄養剤を注入。たんの吸引や寝かしつけなどの世話をした。

古屋さんの介護度は最も重い要介護5。妻公恵さん(80)によると、正紀さんは以前、リハビリ病院などに入るたびナースステーションで帰宅させるよう訴えたという。家族は特養の利用を検討したが、正紀さんの過去の言動を踏まえ、24時間対応型サービスの利用を決めた。公恵さんは「真夜中でも来てくれる安心感がある。一緒に暮らせることは幸せ」と話す。

◎505床の増加

県健康長寿推進課によると、県内の特養は昨年3月末時点で100施設と、3年前の13年3月末と比べ18施設増加。ベッド数は計505床増えた。一方、厚労省の調査で昨年3月末時点の県内の特養待機者(要介護3以上)は4860人。13年3月末の前回調査と比べ、わずか3人しか減っていない。

受け皿が増えても待機者が減らない現状について、山梨県立大人間福祉学部福祉コミュニティ学科の青柳暁子准教授は「特養はみとりまでを含めた長期利用が想定され、恒常的に満室状態の施設が多く、介護認定者が増える中で新規の入所は難しい状況がある」と指摘。高齢化で施設整備が追い付いていないとの見方を示す。

同課によると、特養待機者を減らすための対策は、特養の整備と在宅介護への転換が柱。このうち在宅介護に関し、県は24時間対応型の訪問介護・看護サービスの実施を促しているが、同サービスができるのは今年3月末時点で甲府と笛吹、都留の3市の6事業所のみ。昼夜を問わず呼び出しに応じるなどスタッフの負担の大きさから、全県へ広がるめどは立たないのが実情だ。

◎制度理解を

古屋さんをサポートする「ヘルパーステーションいけだ」は2015年3月に事業を開始。都築所長は「利用者中心の24時間対応型サービスは、事業者側がメニューを組み立てていた従来の訪問介護の概念を変える。関係者の不安は大きく、事業者やケアマネジャー、利用者が十分制度を理解しないと広がらない」と話す。

県は本年度末までに事業所を13カ所に増やす計画で「地域の実情を踏まえながら、県内で広くサービスが受けられるようにしたい」と同課の担当者。本年度、市町村や事業者を対象にセミナーを開くなどして同サービスへの理解を促す考えだ。こうした動きを踏まえ、県立大の青柳准教授は「在宅介護は家族の負担が大きく、家族をフォローする仕組みも構築しなければ、利用者の広がりにも限界がある」と指摘している。〈鈴木秀人〉                                             【写真】24時間対応型訪問介護・看護サービスを利用する古屋正紀さん(右)=甲府市飯田4丁目

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VOICE!ふじさん 20歳 大学生 山梨県

特別養護老人ホームは年々増加しているが、待機者が減らない問題が大きく取り上げられていた。山梨県内はもともと高齢者の多い県である。少し増やしたところで待機者はなかなか減らないだろう。ヘルパーさんの負担も考えれば、国としてもっと深刻に考えるべきだと思う。ヘルパーさんの笑顔の写真が印象的だった。

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