BACK INDEX

HAPPY NEWSハッピーニュース

2017.06.23 update.

地元中小でインターン 学生に奨学金

静岡新聞社 | 2017年6月4日掲載

地元中小でインターン 学生に奨学金 人口減や人材不足 就職促し解消へ-静岡大と浜松信金連携

静岡大と浜松信用金庫は今夏、地元の中小企業でインターンシップを経験した学生を対象とする奨学金制度を始める。就職先の第1選択肢として地元企業へ目を向けてもらい、人口の域外流出、企業の人材不足など地域課題の解消を図る。関係者によると、個別の企業ではなく、地域に枠を広げたインターンシップ奨学金は全国初。(浜松総局・金野真仁)

就職活動を始める学生の関心は情報発信力が強い都会の大企業に偏りがちで、静大でも“地元志向”の学生は全体の3割程度。インターンシップは各企業の情報や魅力を発信する機会にもなるが、自ら生活費を稼ぐ学生がアルバイトを休めないなど、経済的な理由で参加できないケースもあるという。静大・学生支援センターの大八木智一特任准教授(61)は「就活の最初に知る企業は印象に残りやすい。奨学金は金銭的な支援と同時に、学生の目を地元に向けるきっかけになる」と意義を語る。

学生の受け入れ企業は浜松市内の約25社で、業種は製造業や情報系など幅広い。学生は8~9月に2週間程度の実習に臨み、体験談や気付いたことなどを9月下旬の報告会で発表する。大八木特任准教授らが報告内容を審査し、一定の評価を受けた学生に返還不要の奨学金を贈る。受給人数や金額は未定だが、1人10万円前後を検討しているという。

静大は今夏から1、2年生が地元企業の職場を“観察”する「ジョブシャドウイング」にも乗り出す。大八木特任准教授は新卒者の離職率が就職後3年以内で約3割に上る現状を踏まえ、「学生が低学年のうちから本気で地元企業を知ることで、ミスマッチによる早期の離職も抑えられる」と述べる。

いずれは静大以外の近隣大学からも参加学生を募る方針。受け入れ企業の対象エリアも、浜松市から県西部へ広げたいという。

■企業「若者採用に苦心」

静岡労働局が公表した4月の県内有効求人倍率(季節調整値)は1.51倍(前月比0.04ポイント増)。24年11カ月ぶりに1.5倍台となり、就職戦線は学生優位の“売り手市場”が続いている。

浜松信用金庫が4~5月、県西部の約220社を対象に実施したアンケートでは「地元の学生を採用したいが、どうしたら良いか分からない」との声が多く寄せられたという。同金庫地方創生戦略推進センターの安形秀幸センター長(62)は「地元の中小企業にも都会の大企業にはない優れた技術はたくさんある」と述べ、奨学金の創設に向け「産業の基盤は人材。若い人が地元に集まる仕組みを作りたい」と語る。

【写説】学生が企業で職業体験するインターンシップ。奨学金の創設で地元への関心を高める=2月、浜松市北区

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!うんの 27歳 会社員 静岡県

地元中小企業でのインターンシップ参加者を対象とした奨学金制度が始まる。自分も経験があるが、就職活動の初めは情報の多い大企業に目がいきがちだ。情報が多いあまり、「自分が何をしたいのか」が見えにくくなってしまうこともあるかもしれない。奨学金制度を通じて、中小企業に関心を持つきっかけになることはもちろん、規模や知名度だけに頼らない企業選びの軸を見つけ、結果として地元での就職につながってくれればと思う。

HAPPY NEWS SHARE RANKINGHAPPY NEWS facebookシェア ランキング