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2017.09.11 update.

夢の「歩ける椅子」を実現

産経新聞社 | 2017年7月29日掲載

夢の「歩ける椅子」を実現 千葉大准教授ら共同開発 年内にも発売

「歩ける椅子」。そんな不可能にも思えることを実現した製品「archelis(アルケリス)」が国内外から注目を集めている。千葉大フロンティア医工学センター(千葉市)が金属加工メーカーのニットー(横浜市)などとの共同開発により製品化を進めており、年内にも発売を始める予定という。足腰の弱い人や慢性的な腰痛に悩まされる人にとって、夢の商品になるかもしれない。(長谷裕太、写真も)
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■腰痛を軽減
アルケリスは足に装着して使用する「ウェアラブルチェア」。膝の角度を固定する仕組みにより、立った姿勢のまま椅子に腰を掛けたような状態を維持する。これにより腰痛の軽減が期待できる。筋肉の動きを補助する「パワードスーツ」などと比べ、電気などの動力も必要なく、運用性の良さを実現。メンテナンスや価格面でも優位性があるとしている。
開発者の1人で同大の川平洋准教授(50)=写真右=は、「自身の悩みが開発のきっかけになった」と明かす。川平さんは同大で教(きょう)鞭(べん)をとる一方、内視鏡外科の専門医として月15例ほど手術を手がける。1回の手術は3時間以上の立ち作業になることが多く、自身や多くの医師が腰痛に悩まされている現状があった。
「立った姿勢で腰掛けることはできないか」。川平さんは同僚の中村亮一准教授(41)=同左=とともに、付き合いのあった企業の紹介でニットーの藤沢秀行社長(44)に相談、本格的な共同開発がスタートした。試行錯誤を繰り返して11台の試作品を製作し、市販も視野に入ってきた。川平さんは「最初は思いつきだったが、ビジョンは見えていたし、話し合いの中でどんどんアイデアが膨らんだ。人と人のつながりがアルケリスを生んだ」と振り返る。
■立ち仕事にも
腰痛に悩む医師のため開発を始めたアルケリスだが、立ち仕事が多い農業や工場、美容院などの現場でも活用が見込める。ただ、そのためには「用途などに合わせた細かい調整が必要」と藤沢社長は指摘。今後の課題や改善点を検討している。
アルケリスはホームページ上や展示会などで発表されると、国内外で大きな話題となり、米国やロシア、中国、ブラジルなどからの問い合わせも多いという。ニットーが動画投稿サイト「ユーチューブ」に公開した公式動画の再生回数は22万回を超えた。
アルケリスの特徴について中村さんは「既存の技術を利用し、最低限の機能を盛り込んだシンプルな製品。だからこそ多くの人に使ってもらえると思う」と話す。川平さんも「ローテクな技術でも工夫して使うことで、まだまだ世界で戦えるものを作れる」と誇らしげに語った。

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VOICE!ナツ 22歳 大学生 東京都

私自身、工学系の学科に通っているためこのような科学技術が人々の生活の向上につながる話は面白い。ローテクな技術を工夫することを誇っているが、そのシンプルさが更なる発展の原型になっているとも考えられ、今後の「アルケリス」がどこまで夢の「可能性を持った椅子」に進化していくのかが私は気になる。

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