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2017.10.26 update.

「屋富祖の味」きょう閉店 宮城商店 愛され60年 「惜しまれる最後は幸せ」

沖縄タイムス社 | 2017年9月30日掲載

 【浦添】昔ながらの商店が立ち並ぶ屋富祖通りで、60年の歴史を持つ宮城商店が30日、店じまいする。閉店を目前に控えた商店には「さみしい」と惜しむ声や「長い間、お疲れさま」とねぎらいの言葉を掛ける常連客が後を絶たない。(浦添西原担当・伊禮由紀子)

 宮城商店は1957年、キャンプ・キンザーで働く軍作業員が多く行き交った屋富祖通りに宮城キク子さん(86)がオープン。約35年前からは三男の秀輝さん(58)と店を営み、ジューシーやエビフライなどの総菜やたばこ、インスタント食品などを求め、24時間、地域の常連客や飲み屋の従業員らでにぎわっていた。

 閉店するとのうわさを聞きつけて店を訪ねた常連の為村藤雄さん(58)は「近くで飲んだ後に店へ立ち寄って、棒アイスの当たりくじが出るまで買って食べたなぁ」と思い出を振り返った。中学校入学前から足しげく通ったという。

 鶏肉をジャガイモで包んだブラジルコロッケを家族で店に36年間卸していた佐敷みどりさん(41)は「総菜もずっと変わらない味。寂しくなる」と惜しんだ。

 60年間、全てが順風満帆ではなかった。キク子さんが体調を崩した時は店じまいも考えたが、高校卒業後に就職していた秀輝さんが仕事を辞め、店を手伝うことを決断。それ以降、秀輝さんのお手製総菜が看板メニューになった。
 「かあちゃん、目が点滅してきてるよ。電池切れじゃないか」。早朝から夕方まで店に立つ母の体を気遣う親子の絆が店を支えた。

 生まれつき脳性まひの障がいがあり、熊本県の施設に入居する次男(60)がいるというキク子さん。「まだ元気なうちに店を引退して、息子との面会のために健康な体を維持したい」と閉店の理由を語った。屋富祖通りと共に歩んだ60年間を振り返り、穏やかな表情で言葉を残した。「地域の皆さんに惜しまれながら最後を迎えられて幸せです」。

(写図説明)人気メニューのジューシーのおにぎりを手にレジに立つ宮城キク子さん=29日、浦添市屋富祖「宮城商店」

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VOICE!チェシャ猫 24歳 会社員 沖縄県

 「飲食業は開業しやすいが、10年後も営業している店は1割程度だ」という話を聞いたことがあります。入れ替わりの激しい飲食業界で、宮城キク子さんと息子の秀輝さんは、親子2代で「宮城商店」の味を60年間も守り続けてきました。商店を続けることができたのは2人の絆、そして地域の人たちとのつながりがあったからこそだと記事を読んで感じます。

 沖縄では食料品や生活雑貨を置く商店のことを「マチヤグワァー」と呼びます。昨今、24時間営業で便利なコンビニエンスストアが増え、マチヤグワァーの数は減少の一途をたどっています。地域の見守り役として大切な役割を果たしてきたマチヤグワァー、私は絶やしてほしくないです。

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