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2015.10.15 update.
就活しずおか 異常あり(2)=情報収集−ネットより「会う」重視
就活の情報収集はネットから—。そんな「常識」にこの夏、ちょっとした変化が見える。
8月下旬、静岡市駿河区で開かれた合同企業説明会。夏休み中の学生たちが真剣な表情でブースを回る中に、静岡産業大のヒデトさん(21)の姿があった。
7月までに1社から内定を得たというヒデトさん。もちろん企業研究のためホームページなどもじっくり吟味はしたが、何より企業側の担当者に実際に会うことを重視した。「信頼できる情報だけを集めたい」。個人的に登録しているフェイスブックやツイッターなどのSNS(会員制交流サイト)は、就活のツールとしては一切使用しなかった。
SNSを利用した広報に力を入れる企業が増える一方で、プライベートでSNSを利用しても「就活には使わない」という学生は少なくない。
今年は経団連加盟企業が選考日程を後ろ倒しする一方、外資系や中小企業などは例年通りのスケジュールで動き、学生の就活が複線化、長期化の様相を呈している。企業によってばらつきがある状況に学生は戸惑い、よりリアルな情報への欲求を特に強めているようだ。
県内へのUターンも視野に入れる京都の大学生ヒサコさん(21)は、企業の社員らが自社の評価を匿名で投稿する口コミサイトもチェックする。「会社のホームページだと良いことしか書いてない。社員が感じる本音を知りたいから」と理由を語る。
企業の側はどうだろう—。
合同企業説明会の担当者は「今年は企業も学生も初めてのスケジュール。それぞれ試行錯誤しているのでは」との見方を示す。「ネットで情報を得ようとしても、膨大すぎて何が正しいかわからない。そんな不安な気持ちから、相手の顔が見えるアナログな説明会やOB訪問などにせっせと通う学生は多い。みんな確かな情報を求めている」
常葉大のサヤカさん(22)の就活はすでに半年を超えた。この夏もスーツに身を包み、ひたすら企業を訪ね歩いた。「実際に行くのは大変だけど、疑問や不安はやっぱり面と向かって尋ねてみたい」。志高く、“秋の陣”に臨む。
(文中仮名)
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■取材班から
多くの出会い、大切に
SNSに慣れ親しんだ今の就活生。効率重視でネットを駆使しているかと思ったら、就活にはあまり使わないらしい。
企業があらゆるメディアで発信する最新情報を追うことはもちろん必要だ。でも、アナログな出会いはどんな方向に進むか分からない。説明会を訪れた学生たちは、その可能性を肌で感じているのかもしれない。
(社会部・中村宝子)
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■メモ
SNSの活用
来春卒業予定の学生を対象にしたウェブサイトの就職意識調査によると、就活生の96%以上がスマホを利用する。ただ、このうち文系の4割、理系の5割以上の学生が、就活でSNSを利用しないと回答した。
※ご意見・ご感想お寄せ下さいFAX054(284)9348 shakaibu@shizuokaonline.com
【写説】スマホで就活サイトを確認する一方で、リアルな情報を求める学生たち。説明会やOB訪問など、アナログな就活を重視する=8月下旬、静岡市駿河区
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VOICE!happy news特派員・うんの 25歳 会社員 静岡県
4年前の12月、私も就活を経験しました。当時はスマホが普及し始めたころで、私たち就活生は少しでも多くの情報を集めたいと、こぞってガラケーからスマホに買い換えた記憶があります。企業側はフェイスブックやツイッターを利用して採用ページを開設したり、ネット中継による企業説明会を開設したりと、学生とコンタクトを取る場を多彩に設け始めたころだったのではないかと思います。いろいろ試してみたいという思いから、私は今挙げた方法はすべて利用しましたが、結局就職先選びに役立ったのは「実際に会う」ことでした。今は私たちのころ以上にsnsやスマホの活用が普及していて、よりさまざまな情報収集ができます。さまざまな情報収集が便利になる一方で、手間をかけて相手の気持ちをダイレクトに感じられる「会う」ことの大切さを記事を読んで思い出しました。