「校閲記者の手仕事」

イベントリポート 2017年2月25日(土)開催

ニュースカフェの初回は、「校閲記者の手仕事」をテーマに、毎日新聞東京本社の校閲グループ副部長・大竹史也さんから話を聞きました。新聞校閲記者の仕事の様子や、間違いやすい言葉、多くの人が読むことに配慮した言葉遣いなどに、多くの参加者が興味深く耳を傾けました。

新聞社の校閲記者の役割として大竹さんは、①新聞紙面やデジタルメディア等に載る記事に誤りがないよう「品質管理」すること、②記者や出稿部によって書き方のばらつきがないようにコントロールすること、③新しい事態に即した言葉や新語の使い方を検討すること――の3点を挙げました。

また出版の校閲との違いは、「1日に何度も締め切りがある時間との闘い」と、「想定読者が広く、常用漢字表や社のルールに沿った表記をすること」という点にあるそうです。

参加者の興味を引いたのは、誤りの実例紹介です。「超低金利」を「朝廷金利」と表記してしまう変換ミスから、「首の頸椎(けいつい)」という重複表現(頸椎は首にある椎骨の名称)や「東京・横綱の両国国技館」(正しくは横網)という地名の間違いなどが紹介されました。地名の校正ではプロの道具として、『行政区画便覧』を活用しているそうです。

後半は、「体験!校閲記者」。あえて誤りを仕込んだ特製紙面を参加者全員に配布し、参加者に紙面をチェックしてもらいました。大竹さんから、「一文字一文字塗りつぶしたりして、大刷り(校正用の紙面)を汚しながらチェックする」という新聞校閲記者の技の紹介があり、参加者も持参した赤ペンなどで紙面を汚していきました。

大竹さんから正解が発表されると、会場内からは「ああ」というため息がもれました。終了後のアンケートでは、「自分では歯が立たず、真っ青になった。校閲記者のすごさが分かった」などの感想をいくつもいただきました。

活発な質疑応答も行われ、校閲記者が日々の新聞紙面をチェックするだけでなく、幅広い役割を持っていることが多くの参加者の印象に残ったようです。